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人生があなたに期待している

Tさんから残暑見舞いがきた。

僕が初めておこなったツアー参加者で、その翌年も「撮影法を学びたい」ということで僕の旅に同行された方である。

Tさんは、誰もが知っている大企業の社長だった。

しかし、まったくそのようなそぶりも見せず、実に謙虚な方である。

きっと社長になりたくてなったのではなく、好きなことをしているうちに皆におされてなってしまったのだろう。

だから、引き際も見事であった。

権力に執着することなしに、今は自分の人生を楽しんでおられる。

とても素敵な生き方だと思う。

権力、金、命への限りない執着(多少はだれにでもあるが)は醜い。

執着の強い人に限って人をねたみ、うらやむ。

そんなことをしたって労力の無駄だと思うのだが・・・・。

僕はいつの頃からか他人をうらやむことがなくなってきたようだ。

自分の人生は、人と比べるものではなく、自分の果たすべき使命に気付き、それに向かって突き進んでいくこと、ただそれだけだと思うようになってきた。

クリエイトすべきもので、与えられるものではない。

だからこそ、皆人生は違って当然であり、たった一つだからこそ貴重で輝いているのだと思う。

その過程で、権力、金、命への限りない執着を超越していくことが大切ではないだろうか。

これを書いていたら、名著『夜と霧』の作者、フランクルの言葉を思い出した。

人生に期待するのは間違っている。

人生があなたに期待しているのだ。

2番目に出てくる人生とは、自分のはたすべき使命のことだと思っている。

横浜市内のある小学校から、出張授業を頼まれた。

1~2年生が対象と聞き、「難しいです」とお答えした。

1~2年生は僕にとっては宇宙人。

どこまで分かるかまったく想像できないからだ。

ふだん小学校で出張授業を頼まれるときは、5~6年を対象に自然界のバランスをするが、それは難しすぎるだろう。

しかし、担任の先生の熱意に動かされ、受けることになった。

テーマは動物親子と群れの話。

チーター、ライオン、ヌー、ゾウの親子のエピソードや群れでの生活をスライドで紹介しながら30分の授業をおこなったが、2年生はテレビの影響なのか、動物好きの先生が普段教えているのか、その知識にびっくりした。

ほとんどの質問に答えるではないか・・・・。

みな熱心に聞いてくれたので、多少は役だったのではないか、と思っている。

終了後、1年生のエスコートで教室に行き、子どもたちが全員で僕のために劇を演じてくれた。

素晴らしい出来にちょと感動。

でも、さらに感動したのは先生の熱意だった。

実はこの学校は廃校になるらしい。

その記念に子どもたちのために何かをしたいという先生の熱い思いに胸が熱くなった。

12月には校庭に移動動物園を呼ぶらしい。