神経が細かいということは「感度の良いセンサー」を持っていることと
以前日記に書いた。
ところが、その意味がわからずに、ガーガー鳴っているセンサーの音に敏感になりすぎるとストレスがたまってくる。
そのストレスは、自律神経を乱し、様々な症状の原因になる。
症状が不安を生み、さらにストレスがたまっていく。
外来をやっていると、症状があるけど、検査では何も異常がみつからない人が実に多い。
「検査をしても異常がないので大丈夫」と、他の病院で言われていても気になってしょうがないようだ。
というより、医者がその意味について充分に説明していないから納得していないのだ。
神経質な人は年をとるとだいたいこういった訴えで病院を訪れるようになる。
とくに僕が専門の消化器疾患の外来ではそういう人が多い。
良くあるのは、繰り返す軽い下腹部痛だ。
今日も遠くからわざわざ僕の外来を訪ねて来た人がいた。
2つの大学病院にかかっていたが、納得していない。
こういう人はちょっと話しを聞いただけですぐにわかる。
患者さんの訴えを聞いた後に、痛みの性状について先手を打って話しをする。
痛みは、「一時的で自然に消えますね」、「でも繰り返しますね」、「繰り返しても悪くなっていきませんね」、「調子が良い時はでなくて、寝入りばな、疲れた時、ストレスが溜まった時、体調が落ちた時だけに出るのじゃないですか」と聞いてみる。
「そういえば、そうです」とほとんどの人が答える。
「ストレスや疲れなどで自律神経のバランスが崩れて、腸の動きがおかしくなって痙攣状に動いた時の症状なんですよ」と話すとたいていの人は理解する。
「お風呂にゆっくりつかるか、寝ると治りますよ」とていねいに説明すると
安心して帰っていく。
こういう説明を時間をかけてするように心がけているが、それをやればやるほど他の患者さんを待たせることになるのがジレンマだ。