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よみがえれ! 町医者

昔はかかり付けの医者がいた。

その医者は、病気だけではなく、人間全体として、もちろんその人間が置かれている環境まで考えて治療していた。

今ほど医学が発達していなくても、その医者にかかれば安心感が与えられ、病気は治ったものだった。

こういう医者を名医といった。

安心感が与えられただけで、治癒力は増していく。

実際、外来に来る患者の80%は自然治癒すると言われている。

大病院で高度先進医療を受けなければ助からない人もいるだろうが、そのような例はむしろ少なく、大多数が大きな病院に行く必要などないのだ。

医学の進歩は医者に膨大な知識を求めるようになった。

膨大な知識は、医者の感性を鈍らせ、知恵を消していった。

市井から名医がいなくなった。

また、患者は自宅で死ねなくなり、ほとんどが病院でたくさんの管につながれて死んでいく。

こんな時代に、その流れに抵抗するかのように頑張っている町医者がいる。

慈恵医大の同級生・藤井康広君だ。

彼は福井県の三国町で開業しているが、並みの開業医ではない。

在宅ホスピスに取り組み、末期患者の「最後の生の輝き」を患者とその家族とともに笑い、ともに泣きながら、クリエイトしている。

また、老人ホームなどの経営もしているが、そこに芸術療法を取り入れ、老人達に生きがいを与えるために日夜頭をひねっている。

彼の医療そのものが芸術だと思う。

彼のような医者が沢山出てきたら日本の医療が変わるだろう。

今、日本の医療を変えるのは、高度先進医療ではなく、彼のような名医を日本中に増やすことだと思っている。

その彼が「よみがえれ! 町医者」という本を出した。

(日本評論社 1600円)

ぜひ読んで欲しい。

 

横浜市内のある小学校から、出張授業を頼まれた。

1~2年生が対象と聞き、「難しいです」とお答えした。

1~2年生は僕にとっては宇宙人。

どこまで分かるかまったく想像できないからだ。

ふだん小学校で出張授業を頼まれるときは、5~6年を対象に自然界のバランスをするが、それは難しすぎるだろう。

しかし、担任の先生の熱意に動かされ、受けることになった。

テーマは動物親子と群れの話。

チーター、ライオン、ヌー、ゾウの親子のエピソードや群れでの生活をスライドで紹介しながら30分の授業をおこなったが、2年生はテレビの影響なのか、動物好きの先生が普段教えているのか、その知識にびっくりした。

ほとんどの質問に答えるではないか・・・・。

みな熱心に聞いてくれたので、多少は役だったのではないか、と思っている。

終了後、1年生のエスコートで教室に行き、子どもたちが全員で僕のために劇を演じてくれた。

素晴らしい出来にちょと感動。

でも、さらに感動したのは先生の熱意だった。

実はこの学校は廃校になるらしい。

その記念に子どもたちのために何かをしたいという先生の熱い思いに胸が熱くなった。

12月には校庭に移動動物園を呼ぶらしい。