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満員電車の出来事

電車がとても混んでいた。

車内アナウンスで「心臓ペースメーカーなどの医療機器に影響が出る可能性がありますので、携帯電話の電源はお切りくださいますよう皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます」と告げていた。

その数分後、目の前の若い女が突然バックから携帯電話を出して、メールを始めた。

「電源が入っていると電磁波が出てペースメーカーなどに影響を及ぼすのを知らないのか」と思っていたら、前のシルバーシートの席があいた。

僕ととなりの初老の男性を押しのけて後ろにいた若い女がその席に滑り込んだ。

唖然としていると、その女は目をつぶり、すやすやと寝始めた。

後で乗ってきた老人の存在には当然気付かない。

「世も末だ」と思っていたら、僕の後ろの若い男の携帯電話がけたたましく鳴った。

僕の心は何度も殺された。