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山元加津子さんのこと

昼から横浜近代文学館でおこなわれた山元加津子さんの講演を聴きにいった。

彼女は養護学校の先生で、そこの生徒さんたち(彼女は友達だと言っている)との触れ合いを紹介しながら、生きることの素晴らしさ、自分らしくあることの大切さ、差別をする人間の弱い心などを伝えている。

彼女の後援者で、講演の度に同行しているのが小林さん。

先日、僕が浜松で講演した時の主催者である。

今日は彼に会いたかったので、少し早めに出かけた。

着いた早々、受付で小林さんに会うことができ、すぐに山元さんを紹介してもらった。

すでに彼女は、小林さんの紹介で僕の写真集とホームページを見てくれていたので、話しがはずんだ。

そしていよいよ講演が始まった。

彼女のやさしく朴訥とした語り口の講演は素晴らしく、感動の連続だった。

涙が流れ、心が軽くなっていった。

たくさんのエピソードを紹介されたが、その中から一つ。

ゆきちゃんという女の子の話し。

彼女は中学2年の時に事故で片足を失い,それ以来心を閉ざしていた。

だれも受け入れようとしない彼女の心。

どの先生も手を焼いていた。

彼女のかたくなな心に触れた時、山元さんには彼女を被う固い殻のようなものが見え、彼女が恐怖に震えている小鳥のように思えたそうだ。

彼女にはゆきちゃんの今までの苦しみに共感できる心があった。

ゆきちゃんは,「かわいそう」と言われたくないために、必死になってがんばっていたのだ。

彼女に「がんばらなくてもいいんだよ」と言った瞬間、彼女の目に涙が溢れてきた。

泣き虫な山元さんは彼女より先に声を上げて泣いていた。

2人は抱き合って泣き、それから彼女のかたくなな心は溶けていった。

そして、ゆきちゃんは以前のゆきちゃんに戻っていった。

山元さんは涙についてこう言っている。

「自分を守ろうとして多くの人がバリアーを作っている。涙にはそのバリアーを溶かす力があると・・・・」

このように素晴らしいエピソードがつまった山元さんの講演。

僕は講演会の後,本などを買うことはあまりないと以前書いた。

しかし、ジェーン・グドールの講演の時は本を1冊買ってしまった。

今日は3冊である。バックを持っていたら、もっと買っていたかもしれない。

山元さんと知り合えてとてもよかった。

今度ゆっくり話しをしたいと思っている。

紹介してくれた小林さんに感謝、感謝。

山元さんも、「会えて良かった」と言ってくれ、メールをくれるそうだ。

僕は本と絵葉書を送ることを約束し、握手をして会場を後にした。

帰り道、冷たい風が吹いていたが、心がポカポカして、寒さをあまり感じなかった。