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病気になって良かった

今日病院での出来事

診察した患者さんにセールスウーマンがいた。

彼女はずっと売上第一位を維持しているそうだ。

しかし、そのような生きかたに身体は拒否反応をおこしている。

大きなストレスは、彼女の自律神経を乱し、便通異常、肩こり、冷え性などの症状を作っていた。

それでも彼女は頑張り続けていた。

そのうち、免疫の病気が出てきたのである。

その病気は投薬で一時期落ち着いていた。

しかし、しばらく状態が良いと彼女は生活を元のハードなものに戻してしまった。

すると、再び自律神経失調の症状が出始めた。

それを無視しているうちに、免疫の病気は再発した。

そして、今日僕の診察を受けたのである(彼女を診るのははじめてだった)。

彼女の再発の原因はストレスだと思ったので、「ストレスは多くありませんか」と聞いた。

「ものすごいストレスです。営業の仕事をしているのです。ずっと成績第一位をキープするのはたいへんなことです」と答える彼女。

「一位をキープすることに意味があるのですか」と聞く。

「会社のため、そして自己満足です」と彼女は答える。

なんと素直な人だろうか。

僕は、「じゃあ、やめたほうが良いですよ。身体が拒否反応を起こしています。もうやめてくれという第一のメッセージが自律神経失調です。あなたがその意味に気付かなかったから、免疫の病気がおき、そして再発したのです。これが第二のメッセージです。これを安易な治療で良くして,生活を変えなければ、別の大きな異常が出ますよ。過度の競争は自分の身体を蝕みます。今あなたに必要なことは、第一位をキープすることではなく、あなたのノウハウを後進に伝えることです。争いではなく、与えるという行為があなたの病気を快方に向かわせます。薬は出しましょう。しかし、薬は第一の治療ではありません。第一は生活の改善です。そうすれば、今薬が必要でも、いずれ切れるでしょう。僕の治療目標は薬を出す事ではなくきることです。本質に気付き、病気が良くなった時に、薬がきれるだけでなく、あなたは病気になってよかったと思えるはずです。これが僕の治療の最終目標です。」と言う。

彼女は聡明な人だった。

僕の意味を十分理解して、「今日来て良かった」と言って帰っていった。

病気や苦難、逆境は自分を知るために大切なプロセスであると思っている。

僕の患者で「病気になってよかった」と言ってくれる人が少なからずいる。