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不定愁訴症候群

Dr.井上も他の内科医同様『不定愁訴症候群』に対しては冷たい見方なんですね。

ボイスに上記のような意見があった。

僕自身は、不定愁訴の多い患者さんに対し、他の内科医に比べるとはるかに時間を割き、症状について聞くとともにアドバイスをしているのだが、僕が書いた内容を読んで、当事者の一人がこのように感じているとしたら、お互いの意識にまだかなりのギャップがあるのだろう。

たしかに、不定愁訴の多い患者さんの対応が難しい。

きちんと症状について聞いていると、かなりの時間がかかり、カルテがみるみるうちに山積みになっていき、他の患者さんを待たせることになる。

この手の患者さんのなかには、自分のことしか考えずに延々と話す人もけっこういる。

しかし、目の前の患者さんが苦しんでいるのも事実である。

調べても器質的疾患が見えてこないので、内科では軽視される傾向にある。

そのつらさは、経験していない人にわからないから、通常の元気な医者には理解不能かもしれない。

僕はストレスから、ものすごい冷え性になったし、アレルギーもひどくなり、最悪の時は記憶障害が出たこともある。

だから、少し気持ちはわかるつもりなのだが、やはり他人のことはごく一部しか分からない、と痛切に思う。

足りない部分を補うには、想像力、共感する心などが必要なのだろうが、自分自身に充分にあるとは決して言えない。

僕が医者を続けて行く上での一番の課題だと思っている。

しかし、あえて言わせてもらえば、不定愁訴の原因として、神経質なために自分で自分にストレスを与え、症状を作り出している場合も多い(もちろん避けられない外的要因の場合もあるが・・・・)と思っている。

そして、それを改めようという努力がみられず、はじめから「変われない」と諦めている場合が多いような気がしている。

そういった場合は、やさしく言っているだけではだめで、医者に依存するだけでも決してよくはならないことを伝えなければならない。

自分で自分の心と身体の関係を知り(難しいことだが)、自分の意識を変えることで乗りきろうとする努力を積み重ねていくことも必要だと思っている。

横浜市内のある小学校から、出張授業を頼まれた。

1~2年生が対象と聞き、「難しいです」とお答えした。

1~2年生は僕にとっては宇宙人。

どこまで分かるかまったく想像できないからだ。

ふだん小学校で出張授業を頼まれるときは、5~6年を対象に自然界のバランスをするが、それは難しすぎるだろう。

しかし、担任の先生の熱意に動かされ、受けることになった。

テーマは動物親子と群れの話。

チーター、ライオン、ヌー、ゾウの親子のエピソードや群れでの生活をスライドで紹介しながら30分の授業をおこなったが、2年生はテレビの影響なのか、動物好きの先生が普段教えているのか、その知識にびっくりした。

ほとんどの質問に答えるではないか・・・・。

みな熱心に聞いてくれたので、多少は役だったのではないか、と思っている。

終了後、1年生のエスコートで教室に行き、子どもたちが全員で僕のために劇を演じてくれた。

素晴らしい出来にちょと感動。

でも、さらに感動したのは先生の熱意だった。

実はこの学校は廃校になるらしい。

その記念に子どもたちのために何かをしたいという先生の熱い思いに胸が熱くなった。

12月には校庭に移動動物園を呼ぶらしい。