写真家の秋山庄太郎さんが亡くなられた。
常に写真界の第一線で活躍されていた方なので、知らない人はほとんどいないであろう。
僕が初めて秋山さんと話しをさせていただいたのは、1997年に僕の第1作目の写真集「サバンナが輝く瞬間」で林忠彦賞を受賞した時のことだった。
秋山さんは、故・林忠彦さんの親友で、この賞の審査委員長だった。
第一印象は、「気取らずにいつも気さくでおちゃめで楽しい方だ」というものだった。
その印象はずっと変わらず、いつも楽しそうに女性の話しや冗談を言っては、まわりを愉快にさせていた。
話しも軽妙で、80歳を越えても、男の色気を失わない魅力的な方だった。
写真の審査の途中で倒れ、亡くなられたとのこと。
心よりご冥福をお祈り致します。
その死に方は、「秋山さんらしい・・・・・」と思うと同時に、「最後まで仕事を続け、その最中に倒れるというのは男にとっては理想的な死に方だったのかもしれない」と思った。
秋山さんが、選考会総評として言ってくださった言葉を書いてみたい。
「サバンナが輝く瞬間」が優れている点は、どんな人でもおもしろく興味を持って鑑賞できる写真であるということです。井上冬彦さんは、サバンナの大自然の中でたくましく生き抜く野生動物達の姿を慈愛に満ちた温かい視線でとらえ、優れた写真映像に結実させており、長年にわたる作者の取材姿勢を高く評価したいと思います。野生動物をテーマとしているプロのかたが見ても驚くほどの力作と言っていいでしょう。
僕が受賞した時の審査委員8人のうち、すでに4人の方が亡くなられたことになる。
月日の流れを痛切に感じるのである。