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サファリ日記 2月20日

6時にロッジを出た時には、すでに東の地平線はわずかにオレンジ色がかっていた。

今日も天気が良さそうだ。

空と雲の感じからすると、日の出の光は強すぎるだろうと思っていたが、案の定その通りだった。

サバンナの滞在日数が450日を越えたが、朝日の具合はだいたい予想できるようになってきた(夕陽は難しいが)。

光が強過ぎる時は、太陽をいれた写真は困難で、日の出後の斜光線で撮影するしかない。

今日はトピ゜の群れを撮影したが、なかなか幻想的な雰囲気の写真になったかもしれない。

これからムシアラに遠征予定だが、その前に昨日見たヒョウをチェック。

しかし、今日はまったく姿を見ることができなかった。

光が良かったので、見れたら絶好のチャンスだと思っていたが、そう甘くはなかった。

40分ほどヒョウを探してから、ムシアラへ向かう。

途中ライオンの群れに出会うが、子供はいないし、ただゴロゴロ寝ているだけなので、すぐその場を離れることにした。

その後、チーターとサーバルを探すが今日は見つけられない。

何も撮影するものがないので、巣作り中のヘビクイワシを撮影。

枯れ枝を数本くわえて飛んできたが、車を警戒してか巣にはとまらず、去ってしまった。

その後も延々とチーターを探すが影も形も見えない。

昨日食べたばかりだからどこかで寝ているのだろう。

今日はあきらめてはロッジに帰ることにしよう。

それにしてもヌーがいないのにハエが多いのはなぜだろう。

雨が多かったせいだろうか。

ハエが多いので、やたらとツバメが飛び交っている。

午前中のサファリはパッとせず、ほとんど撮影できないまま終了した。

午後はムシアラに行く予定だったが、ドライバーが情報をある得ていて、セレナ地方に行こう、という。

サイの親子とライオンの小さな子供がいるらしい。

が、行けども行けども草の海。

動物はほとんどいない。

「こんなところでは見つけても草が高くて撮れないだろう」とブツブツ言いながら、今日は1枚も撮れないだろうと半分あきらめかかっていた。

その矢先、川底(川と言っても水がわずかしかないために水たまりが点在しているようなところ)でスタックしてしまった。

それも3輪がスタック状態でまったく身動きがとれない。

これは時間がかかるだろう、と思っていた。

ドライバーが悪戦苦闘している間、手持ち無沙汰に待ちながら「アー、今日はこれで終わりか」と半分あきらめ気分になっていた。

こんな時、ライオンやヒョウが現われたら、ドライバーが危険なめにあうので困るが、サーバルやカラカルでも出て来たら・・・・・、なんてぼんやり夢のようなことを考えていた。

いつもスタックするたびにそのように実際にはありえないことを考えるのだが、それはまさしく奇蹟的な確率なのだろう、ということは充分に分かっていた。

しかし、しかし・・・・・。

水溜りをぼんやり眺めていた時、思わず自分の目を疑った。

スタックしている車から10mほど先にある直径3mくらいの水たまりにサーバルがやって来たのである!

それも、すごく大きな雄である。

サーバルの成熟した雄は警戒心が強くてなかなか撮れない。

今まで撮ってきたのは警戒心の薄い若い雌ばかりだ。

そのサーバルは、すぐに逃げると思っていたが、なんと水を飲み始めるではないか。

ドライバーは車の外にいたし、エンジンをかけていたにもかかわらず・・・・・・。

この夢のような状態に焦りながらも、いそいでカメラを構えて連写、連写。

エンジンがかかっていたのでブレが心配だったが、ドライバーに声をかける余裕もないまま撮っていた。

シャッター音に気付いたドライバーはそっとエンジンを止めてくれた。

すぐに水飲みをやめると思っていたが、けっこうしつこく飲んでいるので、撮り放題だった。

そのうち仲間を呼び始めた。

さすがに仲間は来なかったが、その後もしばらくたたずんでいたので連写しまくった。

まさに夢のような瞬間だった。

スタックからの回復に1時間くらいかかったので、夕日の撮影に間に合うか心配になった。

そこから全速力で飛ばして動物を探す。

6時40分ぎりぎりにトピとインパラの群れを発見。

そして、初めてのきれいな夕日・・・・・。

トピの群れや親子と夕日が撮れて、大満足だった。

今日はまったく予想外の展開だった。

こんなことが起きるのでサファリは止められないのである。