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写真集に込める想い

動物を撮っている写真家に2種類いる、と思っている。

まずは、さまざまな場所を訪れ、そこに生きる動物と自然を紹介する写真家。

その代表が田中光常さんや岩合光昭さんなどだ。

岩合さんは、自らを自然界の報道写真家と言っている。

たしかに写真の種類の豊富さ、質はすごいと思う。

もうひとつは、決まった場所に住み、もしくは通い続け、写真表現だけでなく、自分の内面の変化を見つめて表現していくタイプ。

代表が亡くなった星野道夫さんだ。

写真家というより表現者と言ったほうが良いかもしれない。

ぼくがはじめから目指しているのは、後者のほうだ。

が、今までの写真集ではそれが表現できずにいた。

編集者やアートディレクターがぼくの考えを理解できなかったからだ。

いや、僕自身に表現する力がなかったのだろう。

しかし、今度は違う。

そんな手ごたえを感じている。

写真の質には徹底的にこだわっている。

それ以上に、ぼくがアフリカから学び、成長してきた過程をこめることができそうだ。

あとはいかに多くの人に見てもらえるようにするかだ。

はっきり言って、作っても見てもらえない(売れない)のではマスタベーションに終わってしまう。

そんな時、編集の森本さんが驚くようなタイトルを提示してきた。

構成の三村淳さんはそのタイトルにすごく乗り気だ。

「次に作る本のタイトルをその名前にしようと思っていたのに、とられてしまった」などと言っている。

僕は思わず目が点になったが、三村さんの「俺は売れない本は作らない」という言葉と森本さんの熱意を信じてお任せしようという気になっている。

きっとみなが驚くようなタイトルと内容の本(派手とか売り狙いというわけではありません)になるような気がする。

動物を撮っているから動物写真家と言われることにすごく抵抗を感じていた。

僕が撮っているのは「いのち」とそれを育む大自然なのだ、ということがこの本で浸透できれば良いと密かに思っている。

今日は缶詰状態で文章を書いているが、こちらの気持ちもだんだん乗ってきた。

横浜市内のある小学校から、出張授業を頼まれた。

1~2年生が対象と聞き、「難しいです」とお答えした。

1~2年生は僕にとっては宇宙人。

どこまで分かるかまったく想像できないからだ。

ふだん小学校で出張授業を頼まれるときは、5~6年を対象に自然界のバランスをするが、それは難しすぎるだろう。

しかし、担任の先生の熱意に動かされ、受けることになった。

テーマは動物親子と群れの話。

チーター、ライオン、ヌー、ゾウの親子のエピソードや群れでの生活をスライドで紹介しながら30分の授業をおこなったが、2年生はテレビの影響なのか、動物好きの先生が普段教えているのか、その知識にびっくりした。

ほとんどの質問に答えるではないか・・・・。

みな熱心に聞いてくれたので、多少は役だったのではないか、と思っている。

終了後、1年生のエスコートで教室に行き、子どもたちが全員で僕のために劇を演じてくれた。

素晴らしい出来にちょと感動。

でも、さらに感動したのは先生の熱意だった。

実はこの学校は廃校になるらしい。

その記念に子どもたちのために何かをしたいという先生の熱い思いに胸が熱くなった。

12月には校庭に移動動物園を呼ぶらしい。