· 

歩き遍路体験記1

愛媛県・新居浜まで行ってきた。

家内の四国巡礼お遍路の旅に短期間であるが同行するためである。

家内のお遍路は、「通しうち」と言って、一気に四国一周を歩いてまわるという過酷な旅。

最近のお遍路というと車でまわる人がほとんどだが、なかにはこうやって歩いて巡る人もいる。

が、一周1400kmもあるので、一気は無理で何回かにわけて、という人も多い。

数日間頑張るのは誰にでもできるだろう。

しかし、1ヶ月近くを歩き続けることは、体力以上に孤独に耐える精神力と自己管理能力が必要になるはずだ。

連日、電話で「40km歩いた」とか「54km歩いた」と聞き、「たいしたものだ」と感心していた。

家内も自分のやっていることを僕に経験してもらいたかったようだし、僕もその必要性を感じていた。

が、僕自身の仕事が忙しいので、短期間同行となった。

写真集の仕事が一段落した昨晩四国に出発して、今日は1日一緒に歩いてみた。

何十キロも歩くのは大学生以来なので「大丈夫かな」という心配も多少はあったが、やってみれば思ったほど疲れはしなかった。

昔の僕は、考えすぎて「きっとだめだろう」とか、「仕事に支障をきたす」とか、慎重になりすぎて、きっと行かなかっただろうが、最近はなんでもあまり考えずに経験することが大切と思えるようになってきた。

自分自身にまとったよろいをはがすのが容易にできるようになってきたことを、さまざまなことを通して感じる。

今日の目的地は伊予三島。

約8時間かけて(2時間は休憩時間)30km歩いたことになる。

ほとんどが舗装した道路で土の部分が少なくてちょっと残念だったが、国道を外れるといたるところで花が咲いていて、心を和ませてくれた。

天気はうす曇で風が冷たくてさわやかだった。

汗をたくさんかき、100種類以上の花を見ながらの旅は、とても気持ちが良かった。

途中で2度お接待を受けた。

家内の白装束を見ると、家や庭にいる人が「お遍路さん、お遍路さん」と呼び止める。

そして、お茶や食べ物、ときにお金をくださる。

四国では、それが当然のように行われている。

接待する側が喜んでやっている姿に感動した。

また、歩いていると実に多くの人が「ご苦労様」と声をかけてくれる。

学生も元気よく、「こんにちは、頑張ってください」と挨拶する。

すごく大切なことがこの地では失われずにいる。

気持ちよく歩き、「30kmなんてたいしたことない」と言いたいところだが、靴がウォーキング専用でないのと、ほとんどが舗装道路だったこと、そして最後の数キロのところで足を少しひねったせいか、最後の最後になって左の足底部に痛みが出てきた。

宿に着いたときは、身体は疲れていなかったが、足の痛みで限界に近かった。

これを1ヶ月続けるのか・・・・・・、と思うと、家内のすごさをあらためて痛感したのである。

また、彼女に力を与えてくれているのは、弘法大師だけでなく、四国の自然や人々の温かさだということがよく分かった。