以前、愛知県の中学生から突然電話がかかってきた。
「6月3日午後1時から5時の間でお会いしたいのですが・・・・」と突然切り出され、「ちょっと待ってよ、いきなり何なんだ」と面食らった。
「仕事中だから無理だ」と思いながらよくよく話を聞くと、自分が目指す方向性の活動をしている人を探して、自らアポを取ってインタビューするらしい。
修学旅行で東京に出てきた1日を使って、生徒全員が目的の人に会うという総合学習のようだ。
選ばれたのは光栄なことであり、将来のある若い人のためだと思い、1時には無理にしても、なんとか4時までに仕事を終わらそうと今日はたいへんな忙しさだった。
結局仕事が終わらず、途中で抜け出し、4時過ぎから彼のインタビューを受けることになった。
途中で何度か病棟や検査室に呼ばれてインタビューは中断したが、約1時間半、さまざまな質問にお答えた。
とても礼儀正しいしっかりとした学生さんで、僕が中学3年の時と比べるとずっと大人びている。
彼は、科学者か自然写真家になりたいらしい。
そこでネットで検索をして、僕に行き着いたようだ。
質問内容も受け答えもしっかりしていて、純粋で、よく物事を考えている。
彼と話していて、「これからの人生、きっとたいへんなことがたくさんあるだろうが夢を捨てずに前を向いて歩き続けてほしい」と切に思った。
さまざまな質問に答え、色紙に贈る言葉を書き、一緒に記念撮影をして、終わったのは6時前だった。
会いたい人、それも初対面の人を自分で探し、アポをとり、インタビューして、それをまとめるというのはたいへんな作業だ。
しかし、こういった授業は若い人を様々な面で成長させる。
授業時間が減ると学力低下、とよく言われるが、これからの社会に必要な人間には、学力よりも行動力や感性が求められると思う。
知っている・出来る・でもやらない人、感じられないから分からない人が多くなってしまった日本。
今後は、より感じられ・行動できる人が望まれるはずだから、こういった授業なら、暗記ばかりさせる授業時間など減ったって構わないと思う(おまけに今回の場合は修学旅行中なので授業時間が減らない)。
終わってみて、この授業の素晴らしさを痛感した。
最後に僕が贈った言葉は「ひたすら感じること、考えすぎないこと」だった。