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サファリ日記2003年8月 パート2ー4

9月1日

明け方夢をみた。

アフリカではよく夢を見るのだが、今日の夢は鮮明だった。

それは、チーターの母親が子どもをくわえて運ぶシーンを大西さんが撮れて、僕が嬉しくて涙を流している夢だった。

正夢になるだろうか?

期待しながら、朝6時に出発。

曇りで日の出はだめだった。

チーター親子の場所に行ってみると、親子はあいかわらず同じ場所にいた。

子供のうち1頭の動きが昨日からにぶく、弱っているのかもしれない。

ドライバーの一人は「死んでしまった」と言うが、そうではなさそうだ。

それにしても、7時頃から風が強くなってきて、着込んでいてもふるえるほど寒い。

8時頃になってやっと明るくなってきた。

母親は周囲を気にしだした。

この様子から今日移動するかもしれないと、期待に胸が膨らむ。

僕の車を含めて5~6台が離れて、チーターが子どもを運ぶところを待っている。

僕、大西さん、阿部さん、ケニア在住のインド人写真家・シャー(マサイマラに行くと良く出会う)はずっと待っているのだが、他の車はやって来てはしばらく待って行ってしまう。

離れたところで待機しているので、母親が起き上がらないと草に隠され見えない。

しばらくは母親の姿はみえなかったが、10時頃に母親が動き始めた。

50mほど離れた次の棲家の予定地に行き、入念に調べた後、その場所に寝転び、草を倒し、隠れ場所を作っているようだ。

が、その後、もとの隠れ場所と反対の場所に歩いていってしまった。「どうしたのだろうか」と思ったが、安全に運べるようにと周辺も探索していたようである。

そして母親が戻ってきた。

いよいよ引っ越しが始まるかと思うとドキドキしてくる。

1頭ずつ子供を口にくわえて運んでいくことは分かっていたが、勝手が分からずどこで待っていたら良いのだろうか?

確実に5回は運ぶので、焦ることはないと思っても、めったにないチャンス(はじめて経験する)だから緊張する。

はじめ、次の棲家の途中のところで待っていたが、ここでは正面から撮れないことが分かった。

そこで次は新しい棲家の前で待ち、向こうから来るところを正面からとらえようとした。

しかし、草が高すぎる!

子どもに草がかかってしまうし、ピントも合いにくい。

これでは話にならない。

3度目ははじめの棲家のそばに移動した。

ここだけ草が低いからだ。

しかし、ポジショニングが不十分だったので、4度目に調整して万全の体制をとった。

そして移動が始まった。

子どもをくわえた母親が棲家を出てこちらに向かってくる。

ファインダーの中がチーターの顔で占められていく。

真正面だ!

母親も子どももバッチリ見える。

連写、連写で1回の移動で1本撮りきってしまう。

5度目もその位置で確実に撮れた。

そして移動は終わった。

大西さんも僕の横で撮影していたので間違いなく撮れただろう。

僕も嬉しかったが、それ以上に大西さんが撮れたのが嬉しかった。

なんといっても、このシーンを撮るのが大西さんの夢だったからだ。

お互いに固い握手を交わしながら、2人とも目が潤んでいた。

阿部さんも2人が撮れたことを自分のことのように喜んでくれ、ビデオに撮ってくれた。

目的を達したので、大西さんと別れ、阿部さんとセレナに戻ることにした。

セレナに戻る途中でキリンの群れが水を飲むシーンを撮影。

ロッジに戻ったのは2時半だった。

午後は3時45分からサファリの予定地だったが、お腹の調子が悪く、スタートを4時半に遅らせた。

疲れてくるとお腹の調子が悪くなってくるのだ。

休めば良いのだが、よほどのことがない限り休もうなんて思わない。

なるべく長くサバンナにいることが大切だと思っているからだ。

出発は遅れたが、ロッジを出てすぐに3頭の子づれのチーターを発見することが出来た。

それも、すぐに狩りをしそうな雰囲気。

空は雲に覆われていたが、一部の空から光が漏れ、良い感じだった。

その時、2頭のチーターが蟻塚に登った。

空を入れて、シルエットで撮る。

おもしろい写真になったかもしれない。

5時すぎに、ガゼルの子供を発見した母親は一気に走って捕まえた。

相手が生まれて間もない子どもだと走力の差は圧倒的。

あっけないほどすぐに捕まえてしまう。

後を追ってきた子供たちが、その後捕まえては放しまた捕まえる、という狩りの練習に入った。

数回練習したところで、母親がとどめをさした。

日没は雲が多くだめだった。

天候あきらかに悪化しつつある。

情報によると、今朝チーターの家族の引っ越しを撮ったあたりは大雨になったとのこと。

なんとついていたのだろうか(以後、しばらくは誰もこの家族を見なかったようだ)。

明日からしばらくは天気が悪くなりそうだ。