写真展が目前に迫ってきた。
明日はいよいよ飾りつけ。
大々的な写真展は3年ぶりになる。
今回の目玉は、2枚の大きなパノラマ写真と美しい自然光の競演。
写真集ラブレターの写真が大きくなると、ここまで力を持ってくるのか、ということを実感してください。
きっと写真集とはまったく違う世界を堪能できると思います。
なお、一部の作品は本と違うものを出しています。
ここからサファリ日記
9月4日
6時15分に出発予定だが、6時にドライバーが部屋にやってきて、「天気が良いからすぐにいきましょう」と言う。
こんなことは初めてだ。
昨日僕が怒ったので、彼も気合が入っている。
仲間に「もう使ってもらえないかもしれない」と愚痴をこぼしていたようだが、彼がいつも頑張ってくれているのはよく分かっている。
しかし、どんな人でも緊張感を維持することは難しい。
時々、こうやって怒ることも必要なのだ。
しかし2人の想いは今日も空回りだった。
確かに今日も日の出は良かったが、ヌーの集団の方に行ってしまい良い写真は撮れなかった。
もっと動物が分散していないと、シルエットが重なってしまい、芳しくないことは分かっているだろうに、とまた文句が出てしまう。
彼の感が鈍っているのだろうか。
それとも単につきがないのか?
その後は、まるでだめだった。
チーター親子を探し続けるが見つからず、10時にやっと見つけたが、その時はインパラの成獣をしとめたばかりだった。
これでは当分狩りはしないだろう。
今回この地域は、チーターをはずすと川渡りくらいしか撮るものがない。
川渡りはもう十分撮ったので、さきほどちらっと見たジャッカル親子の巣穴に向かうことにした。
1時間ほど待つが、シャイで撮れそうにないので断念。
ロッジに戻ることにしたが、12時に戻るなんて今回初めてのことだ。
つきがない時は焦らず、のんびり休んで体力を回復させることにしよう。
午後のサファリは3時半から。
今回はタンザニアとの国境近くにチーターを探しに行く。
午前中に「そのあたりで見た」との情報があったからだ。
1時間ほど探して高台のブッシュにいる親子を発見。
母親と大きな子供2頭だ。
タンザニアから来たらしく、ケニアマサイマラのチーターに比べるとシャイだ。
5時過ぎに薮から出て移動し始めた。
雲の具合からすると、今日も日没が良さそうな予感がする。
が、この場所は丘がいくつもあり、夕日を撮るのは条件が難しい。
読みがひじょうに重要になってくる。
チーターを追って移動するが、下はゴツゴツした岩場なので車はゆっくりにしか進まない。
親子は丘から降りてきた。
太陽も良い感じで沈みつつある。
逆光に輝く3頭のチーターをシルエットで撮影。
なかなか良い感じだ。
日没の写真が期待できそうだ。
その時、近くのブッシュに3頭の別のチーター親子を発見。
丘の上のブッシュのわきにいる。
この位置では日没と撮るのはブッシュが邪魔になって困難だ。
すでに下に向かって降りているチーターはシャイだが、日没とチーターを撮影するには良い感じの場所に移動しつつある。
さあ、どちらのチーターと日没を撮るのか、これは感の勝負だ。
迷ったすえ、「どちらを選ぶか」と聞くと、ドライバーは「最初に追っていたチーターだ」と言う。
僕もそんな気がしたので彼の意見に従うことにした。
しかし、二人とも今回ははずしている、ことを忘れていた。
チーターを追って今にも雲間からオレンジ色の太陽全体が出る直前、なんとチーターは走りだしてしまった。
狩りが始まってしまったのだ。
唖然・・・・・・、としているうちにアッという間にトムソンガゼルの子供を仕留めてしまった。
最高の夕日のなか、3頭は下を向いてムシャムシャ食べていて写真にはならなかった。
夕日とチーターは、またもお預けになってしまった。
僕以外に2人のフランス人プロカメラマンがいたが、彼らも僕と同じ選択をしていたので、状況からするとこの判断は間違っていないだろうと思う。
ただつきがなかったのだ。
もう一方のチーター親子の所にいた阿部さんは「撮れた」とのこと。
阿部さんはビデオ撮影なので、スチール写真の人が動き回ると撮影にならないから皆が狙わないチーターの所で待っていたらしい。
まあ、運とはこんなものだろう。
運気が上昇すれば、つきも巡ってくるはずだ。
今回のアフリカ滞在中にもう一度か二度チャンスがくるはずだ。
明日からに期待しよう。