去年の写真展に何度も来てくれた青年がいた。
いじめられて苦しんでいた時に図書館で僕の写真集『Love Letter』を観て、癒され、救われたと言っていた。
だが、まだ乗り切っていなかったのだろう。
ちょっと暗い顔をしていた。
今回の写真展でもきっと来てくれるだろうと待っていた。
彼は僕が覚えていないと思っていたようだが、そんなことはない。
何度も来てくださる人の顔はだいたい覚えている(会話しないと思えられないが・・・・)。
だが、結局2週間会えなかった。
最終日パネルを片づけている時に彼がふらりと現れた。
「7時までじゃないのですか・・・・」
時間を間違えていたようだ。
「でも先生に会えてよかった。新しい写真集Symphony of Savannaは本屋で買います」と言って帰っていった。
表情は昨年よりはるかに良かった。
「去年より元気そうだね」と言うと、にっこりうなずいた。
僕の写真集を観て、人生が変わったと言ってくださる人がたくさんいる。
そういった反応が僕の生きがいになっている。