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生きがい

去年の写真展に何度も来てくれた青年がいた。

いじめられて苦しんでいた時に図書館で僕の写真集『Love Letter』を観て、癒され、救われたと言っていた。

だが、まだ乗り切っていなかったのだろう。

ちょっと暗い顔をしていた。

今回の写真展でもきっと来てくれるだろうと待っていた。

彼は僕が覚えていないと思っていたようだが、そんなことはない。

何度も来てくださる人の顔はだいたい覚えている(会話しないと思えられないが・・・・)。

だが、結局2週間会えなかった。

最終日パネルを片づけている時に彼がふらりと現れた。

「7時までじゃないのですか・・・・」

時間を間違えていたようだ。

「でも先生に会えてよかった。新しい写真集Symphony of Savannaは本屋で買います」と言って帰っていった。

表情は昨年よりはるかに良かった。

「去年より元気そうだね」と言うと、にっこりうなずいた。

僕の写真集を観て、人生が変わったと言ってくださる人がたくさんいる。

そういった反応が僕の生きがいになっている。

横浜市内のある小学校から、出張授業を頼まれた。

1~2年生が対象と聞き、「難しいです」とお答えした。

1~2年生は僕にとっては宇宙人。

どこまで分かるかまったく想像できないからだ。

ふだん小学校で出張授業を頼まれるときは、5~6年を対象に自然界のバランスをするが、それは難しすぎるだろう。

しかし、担任の先生の熱意に動かされ、受けることになった。

テーマは動物親子と群れの話。

チーター、ライオン、ヌー、ゾウの親子のエピソードや群れでの生活をスライドで紹介しながら30分の授業をおこなったが、2年生はテレビの影響なのか、動物好きの先生が普段教えているのか、その知識にびっくりした。

ほとんどの質問に答えるではないか・・・・。

みな熱心に聞いてくれたので、多少は役だったのではないか、と思っている。

終了後、1年生のエスコートで教室に行き、子どもたちが全員で僕のために劇を演じてくれた。

素晴らしい出来にちょと感動。

でも、さらに感動したのは先生の熱意だった。

実はこの学校は廃校になるらしい。

その記念に子どもたちのために何かをしたいという先生の熱い思いに胸が熱くなった。

12月には校庭に移動動物園を呼ぶらしい。