銀座キャノンサロンでやっていた福田俊司さんの写真展『鴛鴦(オシドリ)』を観てきた。
彼と彼の奥さんは僕がデビューしたころからの知り合いで、僕の写真展にもよく来てくれていた。
彼のお兄さんはわが母校慈恵医大の放射線科教授だ。
ロシアの自然を撮り続けている福田さんが鴛鴦を撮っているのを初めて知ったのは数か月前のこと。
月間ニュートンの紙面上だった。
その美しさに息をのんだ。
だが、写真展はさらに圧巻だった。
福田さんは対象物に対する執念が違う。
アムールトラの写真を撮るために、雪に掘った穴に作ったやっと身動きがとれるような小屋に長期滞在し、50日目にして傑作をものにしたりしている。
ロシアの極寒の冬、どれだけの忍耐力と執念なのだろう。
そのような姿勢で、鴛鴦に対しても10年の歳月をかけて取り組んだようだ
桜や紅葉バックの鴛鴦。
カラスに捕まった子ども。
ワシの襲来シーンなど傑作ばかり。
そのシーンを撮るためにどれだけの時間をかけてきたのだろう。
いかに対象物を愛し、執念をかけて撮ってきたかが分かる作品だった。
あまりに素晴らしいのでその場で写真集を購入した(文一総合出版)。
それなりの腕があれば、対象物や場所が良ければ数回の取材である程度の作品は撮れてしまう。
それらが安易に発表されてしまう現代の風潮の中、彼の執念と気概に本当のプロの姿を見た。