
7月20日発売の私の最初の写文集(写真絵本)『マイシャと精霊の木』は以下の6章からなっている。
① プロローグ
② あるボスライオンの物語
③ 植物と動物、そしてバランスの物語
④ 命の物語
⑤ 光と闇の物語
⑥ エピローグ
2章の『あるボスライオンの物語』で言いたいのは、ライオンの生きる厳しさだ。
人間は、「百獣の王」というような一面的な面をみてレッテルを貼りたがる。
しかし、そのような自然観では本質から離れていく。
3章では、自然界のバランスについて書いた。
多様な自然を支えているのは植物である。
それを食べる草食獣がいて、それを食べる肉食獣がいる。
肉食獣は殺傷能力が強くなければ生き残れないだけだ。
種としては決して強くはなく、むしろ絶滅に近い。
大切なことはバランス。
弱肉強食というのは、人間が作った狭い見方にすぎないことを伝えたかった。
4章はいのちについて書いている。
多くの人は、生と死は別物で、死んだら終わりと思っている。
自然界を見つめていると、すべてのいのちはつながり、生も死もなく、あるのは循環だけだと分かってくる。
その中で個の命は、いのちのシステムという大きな流れを支える大河の一滴なのだ。
人間は自我の発達させる方向で進化してきたから、自分の命へのこだわりが強くなりすぎたように思う。
大いなるいのちのシステムと現実的な個の命、なんという違いだろう。
この中でどうバランスをとるのかが、今の地球で必要な死生観だと言いたかった。
5章『光と闇の物語』は個々の生き方について書いた。
われわれは、生きていくうえで自分の都合の良いことばかり求めていないだろうか。
しかし、そんなことは現実的にあり得ない。
この世は、光と闇が重なりあってできているのだ。
どちらも認め、その意味を考えながら、命という一時与えられた奇跡的な時間を精一杯生きていかねばならないのだ。
本文より抜粋
ヌーたちは、あの美しい光景に見とれることはない。
でも、おまえたち人間はあれが美しいと感動できるんだ。
それが人間のすばらしさなんだよ。
マイシャも覚えておいたほうがよいことがある。
夕日が美しいのは、後ろに闇 やみ があるからさ。
朝日だって、その前に闇 やみ があるから美しい。
闇がなければあの美しさはつくられないんだよ
この世に存在するものは、
全て表と裏、光と闇 やみ
の部分が重なり合っているのさ。
美しいことに感動できるおまえたちの心が、
同時に悲しみや苦しみもつくっているのを
わすれてはいけないよ。